文鳥社とカラスの社長のノート

株式会社文鳥社/ 株式会社カラス のバードグループ代表をやっています。文鳥文庫を売ったりもしています。

クリエイティブの金言 ~ナタで切って、カミソリで仕上げる~

クリエイティブ作業は、楽しくもなかなかしんどい作業です。

それは生みの苦しみともよばれます。アイデアを考える作業には終わりがないのもつらいところです。

 

ハイな時は気持ちよくアイデアを考えられるのに、人の心は不思議なもので、ちょっとダメになったら最後、どこまでも深く落ちていけるのです。

 

 

そんなとき、先人の言葉が暗闇に遠く輝く北極星ののように道しるべになる(ことも稀にある)のです。

例えば、広告の父オグルビーさんはこう言っています。

 

「ワタシなんか、ウィスキーの2、3杯ひっかけたほうがいいものが書ける」

 

さすがです。かっこいいです。

ダメなときはお酒の力を借りることもいいかもしれません。でもアルコールが入ると人は素の状態に近くなるという説もあるので、オグルビーさんは素がすごかったからうまくいったのかもしれません。

 

さて、博報堂にも、いくつかそういった先人の言葉が残されています。

本邦初公開。いくつかご紹介いたしましょう。

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「おもしろいことは簡単なんだ」僕はこの考え方がとても好きです。

見た人が理屈で考えなくてはならないようなコピーや表現ではダメです。つまり A=B B=C ∴ A=C のような、一つ理屈を挟むようなものはダメなのです。

見た瞬間、聞いた瞬間、アタマを使わずに伝わるような感覚的なコピー。

おもしろいことは簡単なんだけど、言うは易し、それを考えるのは難しいので元も子もないですが笑

 

なので次に生きます。

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やっぱ一つ目と似てますね。

広告はかなり理屈的なものです。Aということを伝えたい、ターゲットはBであり、媒体はCを使うべきであり…云々… さらに様々な利害関係者が渦巻き、最後はドロドロになってしまうことも多々あるわけで、そこで登場するのが論理や理屈というきちんとした手順です。だけど、理屈を積み重ねて、みんなが納得する結果は、往々にして、つまらない場合が多くなる。正しさより、楽しさを。すべて忘れて「この歌よくないっすか!」とか「この表現笑えないっすか」という開き直りも、この世界では大事です。

 

さて、最後にもうヒトツ。

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「ナタで切って、カミソリで仕上げる。」

大胆かつ繊細に。力強くかつ優しく。いい言葉です。

 

太い木をナタで切り落とすような『力強さ』(なぜ斧じゃないのかは置いといて)と、

細部まで美しくカミソリで仕上げるような『繊細さ』の両方があって、

初めて広告クリエイティブとして成功するのだ、と。ほんとうにその通り。

これほどうまく的確に表現された金言もなかなかないと思います。

 

 

でも僕は先人の言葉にさらに偉そうに付け加えたいと思う。

 『だけど、切る木は間違えるな』と。

 

(とくに弊社の)クリエイターは割と木を間違えていることがある。素晴らしいひと太刀で大木を切り倒し、カミソリでどれだけ美しく丁寧に仕上げたところで、切る木を間違えていたら、世の中に何の意味もないものになってしまうわけです。

さらに言えば、登る山は間違えるな、と。

 

当たり前のことなんだけど、

目の前にある問題から、一歩下がって、少し俯瞰して、

問題を大きな目でとらえることは大事なんだけど、

これが実は忘れがちなことな気がします。

 

「神は細部に宿る」

 

これもまたクリエイティブ界の金言。実際にうつくしく手を動かせる人は多くいる。

でもこの世界には、「大きな流れをとらえられる人」が、少ないような気がするわけです。大切なのは細部を作る手だけでなく、もっと俯瞰してみる鳥の目のようなものかもしれません。

 

繰り返します。

 

ナタで切ってカミソリで仕上げろ。

だけど切る木は間違えるな。

 

今日のためになる言葉でした。

以上です。