文鳥社とカラスの社長のノート

株式会社文鳥社/ 株式会社カラス のバードグループ代表をやっています。文鳥文庫を売ったりもしています。

大人はええぞ。

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まずな、宿題がない。

うまいもんが食える。

な、ええやろ。

やりたいことができる。

好きな仕事が選べる。

じぶんでお金を稼げる。

好きな人と結婚できる。

ええやろ?

それからいちばんええのはな、

大人になってからでも

いくつになっても

なんぼでも

やりなおしがきくことや。

 

好きなことやったらええ。

楽しみやなぁ。

 

家族で話そう。福井新聞

 

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何年か前にこんな広告があった。コピーライターになりたての頃に読んだことを覚えている。その時は素敵なメッセージだと思い、自分もこんなコピーを書きたいと思ったものだった。

 

先日、久しぶりに見かけて読み直していたら、なんとも言えない大きな違和感を覚えた。今これを出したら、きっと炎上するだろうなとも思った。「宿題たくさんあるんですけど」とか、「働きたくても働けないやつもいる」とか、「好きな人と結婚できない人がほとんどです」とか、いろいろ怒られそうだ。

 

社会が非寛容的になっているのかもしれないし、WEBのおかげで正しい監視機能が働くようになったのかもしれない。それとは別に、自分が32歳になってみて「大人はええぞ」と言うことの難しさを痛感していることが違和感の正体かもしれない。

 

大人になるということと、「働く」ことは切り離せない関係にある。大人を楽しむということは、仕事を楽しむことに近しい。では仕事とは何か。自分の能力を使い、他者に貢献し、見返り(主にお金)をもらう。それが仕事というものであり、それは本来、とても楽しいことのはずだ。

 

パンを焼いて、それを買ってくれて、喜んでくれる人がいる。社会の課題を解決するサービスを作って、それを利用して、感謝してくれる人がいる。小説を書いて、それを読んでくれて、感動してくれる人がいる。人に貢献できたら嬉しいし、お金をもらうのも嬉しい。だとしたら、仕事が楽しくないわけがない。

 

もちろんそれらは簡単なことではない。たくさんの努力が必要だし、多くの時間もかかる。だけど、がんばった結果、「昨日はできなかったことができるようになる」ことの喜びはとても大きい。気持ちのいい仕事ばかりでもないけれど、何かを成し遂げた後に仲間と飲むビールは何ものにも代えがたく美味しい。間違っても「仕事=誰かにやらされるもの」であってはならない。

 

そして仕事の結果として手にしたお金でいろんなことができる。誰かとおいしものを食べ、服を買い、旅にでられる。いま俺はデニーズでハンバーグを食べながらこの文章を書いている。そんな自由もとても楽しい。そして万が一何かあったところで、餓死するようなこともない。「好きなことをやったらええ」のです。

 

世界的に見ても、歴史的に見ても、こんな自由で豊かな社会はきっと類をみない(あったら教えてほしい)。自由も責任も自分にある。厳しい言い方をすると、いまの日本社会で、他人のせいにできることなんてほとんどない。だからこそ、高度な悩みに苦しんでいるのかもしれない。

 

僕たち大人の現在は、子どもたちの未来そのものでもある。

教育システムがどうのこうのいうよりも、「大人はええぞ」と言える大人が増えることが、全力で今を生きる大人が増えることがいい社会づくりにつながっていくのだと思います。

 

だからこそ心の底から「大人はええぞ」と言える大人の一人になりたいものです。

以上をもちまして、新年の抱負とさせていただきます。